フランス研修

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富士屋ホテル 洋食料理課 副料理長
小池 智宏

フェランディ校にてシェフと フェランディ校にてシェフと ラ・ピラミッドの店内 ラ・ピラミッドの店内 研修先レストラン ラ・ピラミッド 研修先レストラン ラ・ピラミッド

富士屋ホテル 洋食料理課 副料理長
小池 智宏
平成22年8月23日〜11月23日


3ヶ月の研修は、パリにある食のプロフェッショナル養成学校“フェランディー校”とレストランでの研修に別れています。

“フェランディー校”では与えられた課題料理を各人がルセットを元に作成しながら学んでいきます。
料理に関する翻訳解釈の相違、料理に合わせたワインの試飲やその解説、チーズの特色や製造工程等の説明を受けフランス料理全体に関する知識を深めていきました。

ワインやチーズの授業を受け、短期間でこれだけ多くのワインやチーズをテイスティングすることができた貴重な機会に感謝するとともに、事前にもっとこれらに関する知識を得ておくべきであったと後悔しました。
特にフランス文化において料理はワインとともにあるものなので、料理人としてもっと深く関わっていく必要があると感じました。
研修に行く前と後では、このあたりに関する意識と知識が大きく変わりました。
チーズは、日本で食べるフランス産チーズよりもずっと美味しく、食材にはなるたけ旅をさせないほうが良いと感じました。

また、フランスの食材が一堂に集められているランジス市場へ見学に行く機会にも恵まれました。
ランジス市場はレストランのシェフが訪れるような市場ではなく、業者の為にある市場でした。その食材の種類の多さ、特にチーズや内臓類のバリエーションの豊富さや日本との品揃えの違いには驚き、何より文化と気候風土の違いを感じました。
同時にランジス市場では写真の撮影に気をつけなければなりませんでした。
なぜなら、イスラム教の方々は断食中に肉や魚などの食物に触れることは宗教上禁止されていますが、生活の為に勤務をしている事もあります。そのような場面を撮影される事をひどく嫌います。実際に私も画像の消去を求められましたが、極端な場合には全てのデータを消去する事を求めたりする場合もあるそうです。フランスの他民族国家の一面を垣間見た瞬間でありとても貴重な経験となりました。

“フェランディー校”での研修最終日は料理の実技試験が実施され課題料理1品と自由料理1品を4時間で4人前ずつ仕上げます。
実技試験は、「時間がないから。」と簡単なルセットにすると評価されないので競技時間いっぱい作成に取り組まなくてはなりません。フランスは日本よりもコンクールや資格試験(最高峰はMOFフランス最優秀職人章)のキャリアが重視されるのでこういったコンクール用のテクニックも必要になってくるとの事でした。
リスクを恐れず、手の込んだルセットをこのような試験で作り上げるにはやはり普段からシビアに時間管理や手の速さを考えて仕事をしなければならないと痛感しました。
また、全てエスコフィエの著書「ル・ギード・キュリネール」という料理書のバイブルが基本となっているのでここから外れた仕事をするとフランスでは評価されないし、若い料理人たちもこの基本通りの仕事をきっちりと守っています。
フェランディー校では、我々が受けたこのような試験の世界最高レベルの資格試験“MOF”やコンクールの最高峰、“ボギューズ・ドール”の優勝者が講師の先生方だったので、確実に世界最高の基本テクニックを目に出来たと思います。しかしそれは「基本的なことをしっかりとする」という事だったので、その基礎の勉強が大切なのだと改めて感じました。

研修後半のレストランでの現場研修の場所には「La Pyramide (ラ・ピラミッド)」を選びました。
ここは、ヌーヴェル・キュイジーヌを生んだ偉大な料理人「フェルナン・ポワン」の店で彼は死ぬまでこの店のミシュランガイドの3つ星を守り続けました。ポワン氏の亡き後、一度はミシュランの星を失った事もありましたが、1989年にシェフとして迎え入れられた「パトリック・アンリルー」の活躍により現在は2つ星の高い評価を得ています。

「ラ・ピラミッド」の現場研修ではオードブル、ポワソン、ビアンド、デセールの各セクションを2、3週間ずつ研修させて頂きました。オープン前には主に仕込みを手伝い、オープン中には盛り付け作業を手伝いました。
仕事中だけでなく、フランス人と多くの時間を共にすることでフランス人の食習慣やフランス人気質のようなものを観察する事ができました。

キッチンの中だけで仕事をしていくのであれば、ジェスチャーを交えたカタカナ発音の単語を並べるだけでも何とかコミュニケーションを取ることは出来ます。多少発音が不自然であっても他民族国家フランスにおいては特別恥ずかしい事ではないので、萎縮したりせずどんどん積極的に話しかけその中で治していけばいいと思います。
しかし、同じ“話せない”レベルでも文法や特徴、フランス語独自の発音等ある程度理解をしていないと、“なぜ通じないのか?”という事が分からなかったりするので、やはり事前の勉強は大切です。

ピラミッドは私以外にも、多くの研修生を受入れていました。
大都市リヨンの近郊に位置し、寮もあるのでリヨンにある料理専門学校や、ホテルスクールから頻繁に研修生が来ていました。フランスでは中学を卒業するとフェランディー校のような職人養成の為の専門学校に行く道を選ぶ人も多く、学校での座学と現場研修を繰り返してテクニックと仕事の基本を同時に学んでいくすぐれたシステムを持っていました。
私を含めキッチンのスタッフの1/3はおそらく研修生であったと思いますが、その人材の配置方法に無駄はなくとても効率的であるように思えました。
これらのスタッフをシェフ達が厳しくまとめ上げ、2つ星の質を維持していました。

ピラミッドの現場研修では、アンリルーシェフはじめ皆さんには本当によくしてもらいました。
「人に親切にする。」ということを教えられたような気がします。
フランス人はワガママで性格が悪いというイメージもあるようですが、そんな事はありません。
自己中心的な面はあるかもしれないが、基本的に優しく親切でした。
今も彼らのことを思うと感謝の気持ちでいっぱいになります。


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